【2】割烹旅館二葉の名物「忠七めし」について
「忠七めし」は気骨ある料理人だった当家八代目館主・八木忠七と山岡鉄舟との出会いから生まれました。
鉄舟は父の知行地・小川町竹沢を訪れる折々、必ず当館に立ち寄られ忠七の調理する料理を食べながら酒を飲まれるのが常だったという事です。ある日、忠七に向って居士は「調理に禅味を盛れ」と示唆され、それを受けた忠七が苦心に苦心を重ねた上創始致しましたものが「忠七めし」です。
鉄舟が極意を極めた「剣・禅・書」三道の意を取り入れ、日本料理の神髄である「風味と清淡」とを合致させたものでこれを鉄舟に差し上げましたところが、「我が意を得たり」と膝を打って喜ばれて、「忠七めし」と名付けてくれました。
割烹旅館二葉 国有形文化財の本館
割烹旅館二葉は1748年創業。江戸時代から続く老舗の割烹旅館として知られ、明治維新で江戸城無血開城に貢献した幕臣の山岡鉄舟や、人間国宝の陶芸家石黒宗麿ら著名人も足しげく通った。
現在の本館は1933年に建てられたもの。瓦葺き木造二階建ての数寄屋造りで、江戸の面影を漂わせる外観。現在の技術では再現不可能という、鉄さびを塗り込んで作られた「さび壁」などがある。